EGでのスティーブとバッキー

エンドゲームでスティーブがどういう選択をしたのか、知ってる人はもう多いと思うんだけど、後からいろいろ考えると、よく言われている解釈ではどうも腑に落ちないことが多すぎて、個人的な落とし所をいろいろ考えてみたのよね。


スティーブは人々を守るために、我が身を犠牲にして氷の海に突っ込んだ結果、そのまま70年近く氷の下で眠っていたわけだけど、目覚めた時には関わりを持ったほとんどの人はもうこの世を去っていて、時間の流れから完全に取り残されていたわけよね。
それでもキャプテン・アメリカとして、スティーブは当然のように平和のために戦うことになって、彼自身もそこから離れてどう生きたらいいのか、考えてみたところで選択肢は他にない。
スティーブも、CWで再会したバッキーが言ったのと同じく「最後には戦うことになるんだ」というところに行き着くしかなかった。

目覚めた時に、もう亡くなっていると思っていたペギーさんがまだ存命で、再会できたことは嬉しいことではあっただろうけど、彼女はスティーブが眠っていた70年近くの間、彼女の人生を精一杯生きていたのよね。
シールドの創設に尽力し、私生活では他の男性と結婚して子供も生んで育てたわけで。
彼女が自分のことを思って生涯独身を貫いていてくれたら、スティーブは本心の部分では嬉しかったのかもしれないけど、反面そのことに罪悪感を抱き悲しかったとも思うのよね。
彼女の人生をつぶさに見てきたわけじゃなくても、ペギーさんがどれだけ立派に生きたかは分かっていたと思うし、そのことを誇らしくも思っていたと思う。

でも、そんな彼女も寿命には勝てず、天に召されてしまう。

スティーブはその前に、自分の落ち度で死なせてしまったと思っていた、無二の親友で幼馴染のバッキーが生きていたことを知っていて、しかもそのバッキーはヒドラに洗脳されて何十年も暗殺行為を繰り返して来たことも知った。
その中には、トニーの両親であるハワードとその妻の殺害が含まれていたことも、WSでゾラの秘密基地で知った。
それでもスティーブは白黒はっきりした性格なので、洗脳されていたバッキーは本人の人格を失っていたのだから、彼が殺したのではないと考えていたわけよね。
それでも、バッキーが自分の手でやったことには変わりはなく、そのことで深く傷つき葛藤を抱えていることも知っていて。

自分もバッキーも運命に翻弄されて、生きているはずのない時代に放り出され、選択のしようがない人生を懸命に生きている。
仲間はいても、本当の自分を知る人間がいない孤独は、独特のものだと思う。
だからこそスティーブは、なんとしてもバッキーを救いたかったし、たったひとつの自分の『ホーム』を失いたくなかったんだと思う。

そして洗脳が解けたバッキーには、また別の、前よりもずっと過酷な苦しみが待っていて、それでも彼が自殺を踏みとどまったのはスティーブがいたから。
2人にとって、お互いの存在は唯一無二の『ホーム』であり、心の拠り所だったと思うのよね。
だからこそ、互いの存在が互いを守り、救うことになることが分かっていた。

それで思うのは、EGの最後にスティーブが過去に遡ってインフィニティ・ストーンを元あった場所に戻していった後、別の時間軸で自分が望んでいた人生を送ることを決意し、そのままそこで歳を重ねたというのが、やっぱりすんなり飲み込めないってことなのよね。

スティーブがその選択をすることには反対しないし、彼は報われて然るべき犠牲を払って生きてきたと思う。
ただそこで思うのは、自分だけがそれを選択するのか、その別の人生の中で彼はただ穏やかに普通の人生を全うできるのかということ。
だって、どこに行こうがそれは超人血清を打った正義感に溢れるスティーブ・ロジャースであり、彼がそれ以前の病弱で貧弱なブルックリンのもやしに戻ったわけじゃない。
なによりも、スティーブは自ら志願してスーパーソルジャーになったんだから、彼の性分を考えたら、自らその決意を反故にするのはものすごく不自然だと思うわけよ。
まして彼の伴侶がペギー・カーターだったとしたら、彼女が静かにスティーブと暮らしていける女性なのかと思わずにはいられない。

EGで年老いた姿で戻ってきたスティーブは結婚指輪をしていて、誰かと結婚したのは間違いないんだろうけど、その相手がペギーさんだったのかどうかは、何故か含みのある表現で明確にはされていなかった。
確かに最後のカットで、郊外と思われる静かな環境の中の小奇麗な家で、スティーブと踊っていたのはペギーさんだけど、その時にスティーブが同じ結婚指輪をしていた描写はなかったのよね。
ペギーさんと添い遂げたなら、別にそこははっきりと描いていいわけだし、わざわざそういう不確かな表現にしたからには、やはりスティーブは彼女と結婚したんじゃないかもしれない、と考える方が自然な気がする。

私が思ったのは、スティーブはペギーさんと再会して、約束のダンスをして、思いを遂げた後に、結局はペギーさんが生きた人生を尊重して、また別の時間軸に移ってその世界で生きたのではないかと。
だって、他の人と結婚して子供もいたのを知ってて、こっちの世界は違うからって割り切れるもんじゃないと思うよ?
何にも知らないならともかく、自分自身は向こうの世界で生きてた人間なんだし。

そもそも、1人世界に残される孤独を誰よりも理解しているスティーブが、より複雑な葛藤を抱えているバッキーを1人置いて、自分だけ他の世界で心おきなく人生を全うしたりするのかと。
自分がいなくても、今はもういろんな仲間がいるし大丈夫だろう、って??

いや、それ、無理ありすぎでしょ(-_-;)

そんな楽なことなら、これまでのキャプテン・アメリカやアベンジャーズで描かれてきた、スティーブの孤独や苦悩は何だったの?と思うわ。

だからスティーブは先に、バッキーには自分がどうしようと思っているか話したと思うし、一緒に行こうと誘いもしたと思う方が自然だよね。
でも、バッキーは自分のしてきたことへの罪悪感と贖罪の気持ちから、それは出来ないと断っただろう、と。
バッキーが行かないなら、自分も役目を終えたらすぐに戻るとスティーブは言ったと思うので、バッキーは「今はまだ無理だけど、いつか自分もそうしたいと思ったらおまえを追いかけていく」とでも言って、スティーブを説得したのではないかと。

でもね、スティーブは最後に「僕が戻るまで馬鹿はやるなよ」と言ったじゃない?
あれってあの時点で本当に戻ってくるつもりがあったんじゃないかとも思うんだよね。
バッキーはスティーブが戻らないことを知った時、「スティーブ、幸せになれたんだな」と言うように静かに微笑みを浮かべたけど、ベンチに座る年老いたスティーブを見つけた時、明らかに驚いたような顔をするので、帰ってくるとは思ってなかったんだと思う。
でも、スティーブの傍らに置いてある荷物がシールドなのがすぐに分かって、あいつあれを届けに来たんだな、と理解したのでは。
そしてシールドは自分じゃなくてサムに持ってきたんだというのも、分かったんじゃないかと思う。

私はスティーブが向こうの世界で年老いたのは、後からバッキーが来たからじゃないかと思うんだわ。
それがいつのことになるのかは分からないけど、バッキーもいつか本来自分が生きるはずだった時代に戻るんじゃないかと。
だからバッキーは、スティーブがシールドを持って帰ってきたのを知った時、自分にこれから起きるであろうことを少なからず察知したのかもしれないな、と。

サムとバッキーのドラマで、スティーブがそのまま今の世界に留まるのか、年月を重ねて生きた時間軸に戻るのかは分からないけど、私はバッキーもいつか本来の彼の時代に戻してあげてほしいと思う。
その世界でも、スティーブはどうせキャプテン・アメリカだし(笑)バッキーはハウリング・コマンドーズのリーダーとして、スティーブをサポートしながら一緒に戦っていくんだと思いたい。

逆にサムは納得するんじゃないかと思う、それで。
寂しいだろうけど、本来知り合うはずもない時代の2人なんだから。

でまあ、最後にStucky的な所を盛り込めば(笑)スティーブの結婚指輪はバッキーと交換したものってことよ!
何物も恐れず時代の最先端を行くんですよ!

だから、向こうの世界で『I’m with you till the end of the line』でもいいし、こっちの世界で100歳のじーさん同士で最後まで一緒でもどっちでもいいですよ!(笑)

とりあえず、私の脳内スティーブとバッキーはその展開で落ち着くことにしました(笑)

だってさ、年老いて天寿を全うしたペギーさんを見送って悲しんだスティーブが、バッキーに同じ思いをさせると思う?
無いでしょ(-_-;)

そんな単純に、深い友情故にお互いにそれで納得したんだとか言われても、納得できませんって(^_^;)

ってことで、私のエンドゲーム後日談は、いつかバッキーがスティーブを追って過去に戻り、一緒に生きていくってことで(笑)

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